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屋久島旅行

「もののけ姫」の舞台、世界遺産屋久島へ。(土砂降りの雨…)

当初、この秋は「四国」へ行くつもりでいましたが、 突如、大学時代の友人と世界遺産「屋久島」へ行くことになりました。

世界遺産は、姫路城や京都・奈良の寺社仏閣に代表される「文化遺産」には行ったことがありますが、 屋久島等の「自然遺産」へ行くのは、今回が初めてとなります。

一日山歩きということで、普段立ち仕事の私は足腰に不安がある為、 気休め程度ながら下半身中心の筋トレを施し、必要最低限(?)の準備を整えました。


2010年11月19日(金) 鹿児島県種子島・屋久島地方:晴後曇


伊丹空港を出発、いざ屋久島へ (加古川市〜屋久島町)

屋久島へは、大阪の伊丹空港から屋久島空港へ直行便で向かいます。
直行便は1日1往復あるみたいです。(意外と多いと思いました。)
飛行機はプロペラ機、しかも、最近不具合頻発の「ボンバルディア機」です。(若干の不安が…)

三ノ宮駅までは電車を使い、そこから伊丹空港まではシャトルバスで向かいます。

他の2人とは空港でおち合い、昼食を摂った後、飛行機に搭乗しました。

飛行機は、四国の上空から九州東岸沖を通り、1時間半かけて、屋久島空港へ向かいます。

明日の打ち合わせの後、宿泊先のホテルへ (屋久島町)

空港より貸切タクシーで、島の北に位置する宮之浦の観光センターへ向かいます。
宮之浦は、島の北に位置する海の玄関口で、たぶん一番大きな集落です。

ここで、明日の登山の打ち合わせをします。
だいたい、明日ホテルを何時に出るか、装備・持ち物に何が必要か、等といったところです。

ついでに、着いたばかりですが、最低限のお土産を購入しておきます。
時間がなくて買えなくなった、となると悲しいですからね。
特に荷物にもなりませんので、先に買っておいたほうが無難です。

観光センターを出て、島の南にある「JRホテル屋久島」へ向かいます。
ホテルは宮之浦のちょうど反対側で、島を半周する格好になります。

途中、ホームセンター(雑貨屋)で、明日の装備や非常食(お菓子)などを購入しておきます。


2010年11月20日(土) 鹿児島県種子島・屋久島地方:曇時々雨


早朝、陽が昇る前に出発 (屋久島町)

4時過ぎ頃起床、4時半過ぎにホテルを出発。
超、眠いです。。。

ホテルで用意してくれた弁当を持ち、迎えに来てくれた観光協会ガイドの方の車に乗り込みます。
途中、一緒に登る女性2人と合流し、屋久杉自然館へ向かいます。

5時過ぎに到着、ここから荒川登山バスに乗り換えます。

片道850円、結構高いです。
バスを利用するのも、観光客の増加による路肩駐車の防止等の為、登山口までの道路が規制されている為です。
ここは世界遺産です。高いからと、ぼったくりとは思いません。(むしろ納得。)

トロッコ道をひたすら歩く (屋久島町)

バスに揺られ約40分、いよいよ荒川登山口に到着です。

ここに来て、ようやく明るくなってきました。
が、天気は曇り…どころか、雨も降ってきました。
ガイドさんが言うには、山の中はもっと天気が悪いとのこと。

準備運動を念入りに行い、いざ出発!

荒川登山口(出発)

って、この頃には完全に雨模様です。

一応、ウインドブレーカーを着ていましたが、暫く歩く内に、やはり雨水が染み込んできます。
歩きながら何とかレインコートを取り出し、着用します。

止まって着ろよ、と言われそうですが、歩くペースを乱すわけには行かないのです。
他の人にも迷惑かかるし、何より時間にあまり余裕がないのです。

歩くペースもやや速め。これも、後のことを考えてのことです。

暫く歩いて橋を渡ると、小杉谷集落跡があります。
そこには学校の跡もありました。
ここは昭和半ばまで、原生林伐採の前線基地だったそうです。

トロッコ道後半に入り、楠川分かれ(トイレあり)で休憩をとります。

ここまでほぼノンストップで、カメラを出すことができませんでした。
電子機器は水に弱いので、慎重に取り扱わなければいけません。

雨は完全に本降りモード。
よって、ここで装備を整えなおします。

楠川分かれ前

休憩所前の写真ですが、ここで屋久鹿を見かけました。
が、残念ながら、カメラを出す前に逃げられてしまいました。

ここから暫く歩くと、道端に「三代杉」が現れました。(雨粒が木霊の様?)

三代杉

その名の通り、1代目の杉が倒れた跡に2代目が生え、その切り株の上に3代目が生えています。
これを倒木(切株)更新と言って、3つ連続で真上に更新しているのは珍しいようです。

ここまでで、トロッコ道の3分の2というところでしょうか。
まだまだ、先は長いです。

ここからが本番、大株歩道へ (屋久島町)

トロッコ道が終わると、大株歩道入口となり、ここが最後のトイレになります。
縄文杉までの往復4時間余りは用を足せない為、全員がトイレに入ります。
よって、建物の外まで長蛇の列ができ、悪臭も酷いです。
夏はもっと酷いんでしょうね…。

ここからは、急な傾斜の木道と根っこ道になります。
片道2kmあまりですが、ペースがガクッと落ちる為、片道2時間もかかります。

しかし、ここからが世界遺産屋久島の真骨頂。
名のある屋久杉が目白押しです。

存在感のある大株 (屋久島町)

30分ほど登ると、道端に「翁杉」があります。
屋久島で、縄文杉に次ぐ太さを誇った推定樹齢2000年の老杉でした。

何故過去形かというと、ちょうど2ヶ月前の9月10日頃に、自らの重さに耐え切れず(中心部が空洞化していた為)、 高さ3メートルの所から折れて倒れてしまったのだそうです。

その名の通り、渋い存在感のある杉だったそうですが、これも自然のサイクル。
三代杉の様に、その跡から新しい命が芽吹き、また育ってゆくのでしょう。

そこから10分程登ると、有名な「ウィルソン株」が見えてきます。
推定樹齢約3000年の、こちらは1586年に豊臣秀吉の命令により、大坂城築城(又は京都の方向寺?)の為に切られたと言われる切り株です。
名前は、1914年にアメリカの植物学者ウィルソン博士により調査されたことに由来します。

ウィルソン株外観

ウィルソン株の中は、10畳くらいの広さの空洞となっており、内部からは天空を望むことができます。
角度によっては「ハートマーク」に見える為、カップルには格好の…
まあ、野郎3人組には関係ないものですが。。。

ウィルソン株内部から見えるハートマーク

株の中には小川が流れており、また祠もあるので、かなり神聖な空間である感じがしました。

土砂降りの中、昼食… (屋久島町)

既に標高1000mを越えている訳ですが、ますます雨が激しくなり、完全に土砂降りです。
そんな中、縄文杉まであと30分あまりという所で、昼食休憩を取ります。

トロッコ道に比べて、ここの気温の低さが、標高がかなり上がってきていることを感じさせます。 更に動きが止まったことで、なおさら体が冷えてきたのか、お弁当を食べている最中、体の震えが止まりませんでした。

「何でこんな目に遭わなあかんねん。」「こんな思いしてまで登る価値がこの先にあるんか?」

自然の厳しさを肌身をもって教わった気がしました。

縄文杉までの道中、「大王杉」と「夫婦杉」を見ることができます。

大王杉は、樹齢3000年。
縄文杉が見つかるまで、屋久島でもっとも大きな杉とされていました。

大王杉

夫婦杉は、樹齢2000年。
どちらか一方から出た脇枝が相手の幹に喰い込まれて、手をつないだ姿をしているのでこの名前がついています。

これは写真を取り損ねました。珍樹だっただけに残念です。

さあ、後は縄文杉を残すのみ。ラストスパートです。

標高1300mに佇む太古の巨木 (屋久島町)

遂に、最終目的地「縄文杉」に到着します。
現在、縄文杉は手厚く保護され、登山者が直接触れることはできません。

多量の雨と強風による根元の土の流出防止策が施され、登山者に根を踏みつけられぬ様、 木の15mほど手前に高台が設けられています。

この縄文杉もまた、翁杉同様に倒壊の危険があるのです。

高台へは、上りと下りでルートが分けられています。
その高台へ上ると、正面に縄文杉が現れます。

縄文杉(正面) 縄文杉(左面)

やはり、他の杉とは違います。

その存在感は、周りの木が伐採されていることで目立っているともいえますが、 その佇まい、主幹の膨らみ、推定樹齢4000年以上の尊厳を十分感じさせてくれます。

名前の由来は、縄文時代ではなく、 取材した新聞記者が縄文土器の火焔土器に似ているということから付けたと言われています。

暫しここまで来た達成感とその空気に浸った後、下山を開始します。

足の痛みとの戦い (屋久島町)

ここまで5時間かかった道を、そのまま引き返していきます。

達成感で気が緩んだり、自分が思っている以上に体力が消耗していたり、痛みが出てきたり、 また傾斜を下りる方が踏み外す危険が高いので、しっかりと気を引き締め直さなければなりません。

下り始めて暫く行くと、変な形の杉が見えてきました。

タコ杉

通称「タコ杉」。
てっぺんから、タコ足のような枝がたくさん出ている珍樹です。

大株歩道の下りは、意外とすんなりでした。
ただ、踏み外さない様かなり気を遣った為、この後ダメージが顕在化してきます。

トロッコ道に戻り、再び速めのペースで歩き出します。
しかし、楠川分かれで休憩した頃から、かなり脚が重くなり、また足先が擦れて痛くなってきました。

普段から歩いてないツケですね。
まあ、何とか最後まで遅れず付いて行くことができたので良かったですが…。

ゴールが近くなった所でやっと余裕ができて、数枚写真を撮りました。

屋久鹿
もののけの森?

最後の最後で、屋久鹿を激写です!(ブレてますが…)

この時カメラの液晶を見たら、内側で結露していました。
連れの1人は、帰り道に入ってから電源が入らなくなっています。
これはヤバイです。壊れないことを祈るばかりです。

16時半前に、荒川登山口に到着。
ここでようやく、気を抜くことができました。

達成感はありましたが、身も心もボロボロです。。。

聞くとガイドさんは、繁忙期は週5回もこの縄文杉登山道を往復しているそうです。
たぶん、道中の景色はほぼ覚えていて、今ルートのどの辺にいるかも分かるのでしょう。
都会のヤワな凡人には、全くもって考えられません。

ホテルに帰り、温泉で脚を揉み解し、疲れを取る努力をします。
まあ、ムリですね。明日は筋肉痛決定です。

夕食で乾杯するも、その夜は羽目を外す余裕もなく、3人とも即行ベットにおっちんでしまいました。


2010年11月21日(日) 鹿児島県種子島・屋久島地方:晴時々曇


ムカつくのを通り越した青空 (屋久島町)

朝起きると、昨日がウソのような清々しい青空が広がっています。

ホテルから見た海岸(1)
ホテルから見た朝日
ホテルから見たモッチョム岳(1)
ホテルから見た海岸(2)
ホテルから見たモッチョム岳(2)

何で昨日だけ雨だったんでしょう?
ここは晴れでも、山の中はやっぱり天気が悪いのでしょうか?
それとも、強力な雨男がいたのでしょうか?(私じゃありませんよ!)

そして、やっぱり筋肉痛です。
服も靴もずぶ濡れで、まだ乾いていません。

安物の薄い透明なレインコートでは、やはりダメでした。
リュックにも被せた為、途中で破れて雨水が入って来ていました。

厚手の雨合羽か折り畳み傘が正解でした。
写真を撮るなら、「折り畳み傘」がベストでしたね。
手を使わないと登れない所はありませんでしたから。

ホテルをチェックアウトし、来た時と同じ貸切タクシーで空港へ向かいます。
時間があった為、途中お土産屋に立ち寄ります。
だいたい目ぼしい物を購入しましたが、焼酎だけは断念しました。

ホテルで飲んだものは結構美味しかったのですが、自分も周りの人間もお酒には弱く、飲む習慣もないですからね。

あと、飛び魚もウマかったなぁ。
魚は苦手ですが、飛び魚はイヤな臭いもクセもなく、かなり気に入りました。

色々な思い出を胸に、屋久島を発つ時が近づきます。

屋久島空港を出発し、帰阪 (屋久島町〜加古川市)

最後に、屋久島空港の写真です。

屋久島空港正面玄関
屋久島空港駐車場
帰路で搭乗したボンバルディア機

帰りもやっぱりボンバル機…。

伊丹空港で昼食を摂り、大阪梅田に向かい、夕方までウロウロしていました。
意外とそんな元気があったワケで…。

初めての世界自然遺産を身をもって感じる旅。
かなり中味の濃い、充実したものとなりました。

総額15万円近くもかかり、フリーターにはかなり辛い出費となりましたが、それだけの価値は十二分にあったと思います。

次は、富士山を登るしかありません。ぜひ噴火する前に(?)行きたいですね。

ドライブ旅行の方は、念願の「四国」を予定しています。

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