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宇宙スケール「次元の違いを体感せよ」

我々人類が住む地球。
宇宙全体から見て、それはどの辺にあるのだろうか?

地球

地球は、太陽系第三惑星。

中心恒星太陽から約1億4960万km、つまり1AU(天文単位)に位置する。
この世界の最速物質である光なら、8.3分で到達する。

しかしそれは、太陽系全体から見れば、太陽のすぐ傍と言っていいだろう。

太陽系惑星軌道

下図の水色の楕円形が、太陽風の届く範囲「ヘリオポーズ」である。
そこまでの距離は、概ね太陽から50〜160AUの位置(カイパーベルトのほぼ外殻)にあると推定されている。

現在、ボイジャー1号が、2012年8月25日頃に太陽系外へ脱出。
同2号が、別方向からその太陽系の果てに向かっている最中である。

太陽系外殻

太陽系の外に出て、一番近い恒星(プロキシマ・ケンタウリ)まで、光速で4.22年かかる。

太陽近傍恒星

太陽は、「天の川銀河」と呼ばれる棒渦巻銀河(約2000〜4000億個の恒星集団)の一員である。
ちなみに、地球から見える恒星は、ほぼ全てこの天の川銀河に属している。

天の川銀河のディスク(円盤)は、直径約8〜10万光年と見積もられている。

太陽は、サジタリウス腕から伸びるオリオン腕(支線)の内側の縁近く、銀河中心から約8kpc(キロパーセク:約3262光年)の距離にある「局所恒星間雲」と呼ばれる星間雲に属している。

天の川銀河

更に、天の川銀河は「局部銀河群」という大小およそ40以上の銀河の集団に属している。

同じメンバーには、アンドロメダ銀河(M31)やさんかく座銀河 (M33) 等があり、アンドロメダ銀河が最大で、天の川銀河は2番目に大きい銀河となっている。

天の川銀河は、伴銀河と呼ばれる一群の矮小銀河をその周辺にひきつけている。

有名な大マゼラン雲、小マゼラン雲をはじめ、おおいぬ座矮小銀河(銀河系に最も近い)など24個ほどが確認されている。

局部銀河群

局部銀河群は、「おとめ座超銀河団」という更に大きなグループの外れにある。

おとめ座超銀河団の直径は2億光年(約60Mpc)である。
およそ100の銀河群と銀河団からなり、その中心にはおとめ座銀河団(Virgo cluster)がある。

おとめ座超銀河団(局部銀河群を中心とした場合)

2014年に作成された近傍銀河の最新地図により、おとめ座超銀河団より更に大きな「ラニアケア」と呼ばれる、途方もなく巨大な超銀河団の存在が確認された。

天の川銀河は、ラニアケア超銀河団の外れに位置する。
同超銀河団の直径は5億光年、質量は太陽10京個分、存在する銀河の数は10万個である。

下図の白い点は各々の銀河を、黒い点が銀河系を表している。
白い線は、ラニアケア超銀河団の重力中心に向かって各銀河が動く道筋を示すしている。(青は銀河の密度が低い領域。緑は中間。赤は高密度。)

ラニアケアとその近傍の超銀河団(黒点が銀河系)

超銀河団は平面状の壁のような分布を示しており、この巨大な壁を「銀河フィラメント(グレートウォール)」と呼ぶ。

1枚の銀河フィラメントと他のとの間には、光を発する天体がほとんど無い領域があることが明らかになった。
これを超空洞(ボイド)と呼び、その直径は1億光年(約30Mpc)を超える。

宇宙の大規模構造は、銀河フィラメントと超空洞が複雑に入り組んだ、あたかも石鹸を泡立てたときにできる、幾重にも積み重なった泡の様な構造である。

つまり、泡の膜面たる銀河フィラメントには銀河が存在し、泡の中の空洞たる超空洞には銀河がほとんど存在しない。

ちなみに、銀河フィラメントと並んで宇宙最大の構造を形成しており、複数のクエーサーで構成された「大クエーサー群」というものも多数確認されている。

宇宙の全貌

これが宇宙の全貌とされているが、いまだその大きさが有限なのか無限なのかすら分っていない。

ただ、宇宙の年齢は約137億歳。
地球見ることができる宇宙の端までの共動距離は、地球を中心とした半径約14Gpc(465億光年)の球形の範囲内であるとされる。

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ここで、単位をly(光年)で統一した上でおさらいしてみよう。

  • 太陽までの距離:0.000016光年
  • 太陽系の直径:0.0024光年
  • 一番近い恒星までの距離:4.22光年
  • 天の川銀河中心までの距離:26,000光年
  • 天の川銀河の直径:100,000光年
  • アンドロメダ銀河までの距離:230,000光年
  • おとめ座銀河団までの距離:65,000,000光年
  • おとめ座超銀河団の直径:200,000,000光年
  • ラニアケア超銀河団の直径:520,000,000光年
  • 宇宙の最大観測可能距離:46,500,000,000光年

今の人類の科学力では、太陽までの距離ですら、行くのに数年かかるのである。

次元の違いを体感できただろうか。
―いや、もはや想像を絶していて、わけが分からない…

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