皆既日食2009特集
featuring みなみ気象予報前線
2009年7月22日、日本国内で今世紀最長となる皆既日食がありました。
皆既となったのは鹿児島県トカラ列島周辺と東京都硫黄島周辺で、その他広範囲に部分日食が観測されました。
当日は、この時期としては珍しく、梅雨前線が鹿児島県南部にまで南下してしまい、皆既帯各地の天候は悪化。
奄美大島北部のみ薄日が差したが、特等席(皆既時間最長の6分間超)の悪石島は、ちょうど激しい雷雨に見舞われるという、最悪なコンディションとなってしまいました。
一方、南海の孤島、東京都硫黄島周辺は太平洋高気圧圏内で天気も良く、観測条件は良好だったようです。
日本列島で46年ぶりに観測された皆既日食
鹿児島県喜界島=午前10時58分、野田武撮影【出典:Yahoo!ニュース(毎日新聞)】
皆既日食が終わり、再び太陽の光が輝く瞬間に現れた「ダイヤモンドリング」
鹿児島県喜界島=午前10時59分、野田武撮影【出典:Yahoo!ニュース(毎日新聞)】
日食が起こり始め、太陽の半分以上が欠けてくると、光量が落ちて周りが若干暗くなってきます。
皆既寸前になって急激に暗くなり、皆既状態になるとまるで夜の様になります。
いや、地平線近くは、朝焼けや夕焼けの様に、360度空が赤く染まります。
地平線すれすれまでに見える空の範囲に比べ、月の影の範囲の方が小さいので、完全に真っ暗にはならないのです。
皆既日食中の空(今回のものではありません)【出典:アストロアーツ】
ところで、宇宙から日食を見たら、どう映るのでしょうか。
日食のメカニズムからいって、「地球に月の影が落ちる」のは想像できます。
地球に落ちる月の影(今回のものではありません)【出典:CNES】
そう言えば、いつも天気予報でお世話になってる「気象衛星」
あれが写す画像に月の影は写ってないだろうか。
総支配人が時々訪れる「気象庁」のホームページにいってみました。
「気象庁」ホームページには、気象衛星画像が公開されています。
ここで注意してもらいたいのは、画像には「赤外」「可視」「水蒸気」の3種類があるということです。
いつも、テレビで見る衛星画像は「赤外」です。
これは雲の温度が低いほど白く写る代物なので、日食は一切写りません。
「水蒸気」は、大気に含まれる水蒸気量が多いほど白く写るので、これも関係ありません。
見るべきは「可視」です。
これは雲から反射された光が強いほど白く写るので、夜間同様、月の影の部分は当然雲から反射された光がないので、そこだけ雲が写らず、
ぽっかりと穴があいたような状態になります。
(カラー画像は、カラーの陸地形画像にモノクロ画像を合成しただけなので、月の影がそのまま写らず、雲がない状態で表現されています。)
雲のない部分が、左中央から右下へと移って行ってるのがお分かりになるでしょうか。
あと、日食で起こる現象として、「気温が若干下がる」(陽が遮られるので上がることはないでしょうが、早々下がりもしないはず)、 「生物の行動が変わる」(夜が来たと勘違いする生物がいる)等が挙げられます。
いずれにせよ、日食は人間がいかにちっぽけな存在であるかを教えてくれます。
人間は昨今、地球環境を変えてしまうほどの力を持ってしまっていますが、 「わたしたち人間は生かされているんだ」ということを絶対忘れてはいけないのだと思います。