星雲 Nebula

宇宙の彼方にある星間物質の凝集体  Nebula of faraway space

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暗黒星雲 暗黒星雲
Dark nebula
画像:オリオン座馬頭星雲
温度低い 密度高い
主要構成物質H2:70%弱、He:30%弱、Si、C、Fe等 主要放射線ほとんどなし
宇宙空間に広がる比較的低温の星間ガスや、宇宙塵が他域より濃く集まっている領域のこと。
温度が低く含まれているガスが分子となっている為に分子雲とも呼ばれる。
地上から観測した場合、暗黒星雲に含まれる塵によって背景の星や銀河等の光が吸収され、 あたかも黒い天体の様に見える為、暗黒星雲と名付けられた。
暗黒星雲中の物質が集積して恒星が生み出されると、 恒星を孕んだ暗黒星雲は恒星からの紫外線によって中性水素ガスが電離され、光り輝く雲のような様態を見せる。
この様な星雲を散光星雲又はHII領域と呼ぶ。
この為、散光星雲と暗黒星雲はしばしば隣接して存在する。

散光星雲 散光星雲
Diffuse nebula
画像:オリオン大星雲(M42)
温度中位 密度高い
主要構成物質H2:70%弱、He:30%弱、Si、C、Fe等 主要放射線電波〜X線
可視光によって観測できる、比較的広い範囲に広がったガスや宇宙塵のまとまりである天体。
自ら発光している輝線星雲と近くにある恒星の光に照らされて見える反射星雲の2種がある。
この2つの性質を併せ持つ散光星雲も多い。
暗黒星雲から恒星が誕生すると、その恒星が周囲に残るガスを輝線星雲へと変える。
その為、輝線星雲は誕生したばかりの散開星団と共存していることが多い。
反射星雲は近くの恒星の光に照らされているだけであるから、 そのスペクトルは光源となっている恒星のものとほとんど同じであり、低温の恒星の周りにも存在する。

惑星状星雲 惑星状星雲
Planetary nebula
画像:水瓶座らせん状星雲(NGC7293)
温度高い 密度希薄
主要構成物質H2、He、Si、C、Fe等 主要放射線電波〜X線
超新星にならずに一生を終える恒星(質量が太陽の4倍以下)が、赤色巨星となった際に放出したガスが輝いているもの。
惑星状星雲の名はその視直径が散光星雲などに比べて小さく、 円形のものが多い為に望遠鏡で観測したときの印象が惑星に似ているところから名付けられた。
恒星は一生の末期になると外層が膨張し赤色巨星となる。
赤色巨星となった際に外層のガスは徐々に恒星の重力を振り切って周囲に放出されていく。
一方、中心核は自分自身の重力で収縮し高温高密度の白色矮星となる。
白色矮星は非常に高温であるため紫外線を放射する。
この紫外線が赤色巨星であった時に放出したガスに吸収されると、 ガスはそのエネルギーによって電離し、光を放って輝くようになる。

超新星残骸 超新星残骸
Supernova remnants
画像:銀河系内にあるティコの超新星残骸
温度100万℃ 密度高い
主要構成物質H2、He、Si、C、Fe等 主要放射線電波〜X線
超新星爆発の後に残る星雲状の天体。
超新星爆発で放出される物質はほぼ球対称に拡がるため、 地球から観測した場合には超新星残骸は円弧状の形に見えるものが多い。
超新星爆発が起こると星の外層のガスは衝撃波によって吹き飛ばされる。
この際に、衝撃波による断熱圧縮や放射性元素の崩壊熱で、ガスは加熱され、非常に高温になり、光を放射する。
超新星残骸は、その後も周囲の星間ガスを取り込むようにして膨張を続けていく。
高速で膨張していく衝撃波面が周囲の星間ガスに衝突し断熱圧縮されることで高温の状態が維持される。
この様にして、超新星残骸は膨張速度が衰えて高温の状態を維持できなくなるまで、数万年程度輝き続ける。

スーパーシェル スーパーシェル
Super shell
画像:渦巻銀河M33にある網状星雲(NGC604)
温度中位 密度中位
主要構成物質H2、He、Si、C、Fe等 主要放射線電波〜X線
いくつもの超新星残骸が集まる等して、巨大な星形成領域(Stellar nursery)となったもの。
別名、星のゆりかご。
星雲中のガスは生まれたばかりの星によって照らされ、 紫外線光に打たれて原子中の電子がはぎ取られ励起し、特徴的な星雲光で光っている。
星雲の詳細構造を見ると、そこには星形成と銀河進化の謎を解く手がかりがある。

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